top of page

細胞キラリティによる左右非対称な形態形成

キラリティとは、左手と右手のように構造がその鏡像と重ならない性質を指し、分子の構造でよく知られていますが、細胞も左右非対称な形態である「細胞キラリティ」を示すことがわかっています。ショウジョウバエでは、モータータンパク質である1型ミオシンをコードする遺伝子Myosin1Dの突然変異体で細胞キラリティと内臓器官の向きが野生型に対して鏡像化します。Myosin1Dが細胞を傾ける機構と細胞の微小な傾きが集団として内臓器官の向きを一方向に決める機構の解明を目指します。

chiralitypng.png

組織間相互作用による形態形成の機構

生体内での器官の形態形成では、上皮組織の変形や移動に加えて、周囲の組織からの化学的および物理的相互作用の影響を受けます。ショウジョウバエ胚の器官形成過程では、マクロファージが細胞外マトリックスを分泌し器官の上皮層に基底膜を形成しますが、その形成が器官特異的に制御されることを発見しています。組織特異的に遺伝子操作が可能なショウジョウバエの利点を活かして、組織間相互作用による器官形成の機構とその意義を明らかにします。

image.png

上皮細胞の集団移動の制御機構

上皮細胞は様々な器官を形作る層状の構造をもつ細胞の集団で、通常は移動性を持ちません。ショウジョウバエの卵巣上皮では分化した上皮細胞からボーダー細胞と呼ばれる8−10個の細胞集団が誘導され生殖細胞の間を移動します。細胞の集団移動では細胞同士の接着、極性、細胞骨格が協調的に制御される必要があります。遺伝子発現解析とライブイメージング、シミュレーションを用いて移動性の獲得と集団移動の機構を明らかにします。

脳の左右非対称性

脳は、右半球と左半球で構造や機能に違いがあります。これを脳の左右非対称性と呼びます。この特徴はヒトをはじめ多くの動物に共通して見られ、記憶や認知といった高度な脳機能を支える重要なしくみの一つと考えられています。

実際に、ヒトでは自閉症スペクトラム症や統合失調症などの神経発達障害・精神疾患において、脳の左右非対称性に異常が見られることが報告されています。

私たちは、ショウジョウバエの脳に存在するAsymmetrical Bodyと呼ばれる左右非対称な構造に注目しています。この構造は、ハエの長期記憶の形成に重要な役割を果たすことが明らかになっています。

本研究では、遺伝学的解析およびイメージングを駆使して、Asymmetrical Bodyがどのような分子・細胞メカニズムによって左右非対称に形成されるのかを解明することを目指しています。

 

あわせて、行動解析を用いてこの左右非対称性が記憶機能の発達にどのように関与するのかを調べるとともに、フィールドワークを通じて野外集団における左右非対称性の多様性を明らかにすることで、その進化的意義の解明にも取り組んでいます。

〒678-1297 兵庫県赤穂郡上郡町光都3丁目2番1号 研究棟 634号室

inaki[at]sci.u-hyogo.ac.jp

0792-58-0206

© 2025 by Mikiko Inaki. Powered and secured by Wix

bottom of page